実は今、医療現場における理学療法士の英語の重要性が急速に高まっています。
全国調査によると、病院の54.3%、診療所の37.5%で外国人患者の受け入れ実績があります。
出典:厚生労働省|令和5年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」
英語力があることで、外国人患者対応の専門職・医療通訳連携・国際的な研修機会など、キャリアの選択肢が大きく広がります。
この記事では、「理学療法士に英語が必要なのか?」という疑問にお答えします。
また、記事の最後には現場ですぐに使える医療英語を学べるツールをご用意しましたので、ぜひ挑戦してみてください。
理学療法士は英語で「Physical Therapist」|まずは基本を覚えよう
理学療法士は英語で「Physical Therapist(PT)」と言います。
世界共通の職業名なので、覚えておいて損はありません。
よく使う理学療法の英語
日本語 | 英語 | カタカナ読み |
---|---|---|
理学療法士 | Physical Therapist | フィジカル・セラピスト |
理学療法 | Physical Therapy | フィジカル・セラピー |
リハビリ | Rehabilitation | リハビリテーション |
患者さん | Patient | ペイシェント |
治療 | Treatment | トリートメント |
運動 | Exercise | エクササイズ |
混同しやすいPT・OT・STの違い
医療現場でよく混同される3つの職種を整理しておきましょう。
- PT(Physical Therapist):理学療法士 – 運動機能の回復を支援
- OT(Occupational Therapist):作業療法士 – 日常生活動作の訓練を担当
- ST(Speech Therapist):言語聴覚士 – 話す・聞く・飲み込む機能の改善
英語圏では略語で呼ばれることが多いので、覚えておくと便利です。
それでは、「理学療法士に英語は必要なのか?」という本題に入っていきましょう。
理学療法士に英語が必要な3つの理由|データで分かる現実
今の時代、理学療法士にとって英語は「あったらいいな」から「必要」に変わっています。
最新のデータを見ながら、その理由を3つご紹介します。
理由1:外国人の患者さんが増えている【半分以上の病院で受け入れ】
最新の調査で分かったことがあります。
病院の54.3%、診療所の37.5%で外国人の患者さんを受け入れています。
出典:厚生労働省|令和5年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」
つまり、2つに1つ以上の医療機関で外国人の患者さんがいるということです。
もう「うちには来ないだろう」とは言えない状況になっています。
どんな国の人が多いの?
日本に住んでいる外国人(患者さんの大部分)
- ベトナム、中国、フィリピンの人が多い
- 長く日本にいるので、継続的な治療が必要
- 家族にも説明が必要
観光で来た外国人
- 中国、アメリカ、台湾の人が多い
- 急に具合が悪くなって病院に来る
- 短時間で集中的にコミュニケーションが必要
理学療法士が実際に困る場面
- 「どこが痛いですか?」を英語で聞けない
- 運動の指導をしたいけど、安全に伝わっているか分からない
- 家族に自宅でのケア方法を説明できない
- 患者さんの不安な気持ちを理解してあげられない
このように、外国人の患者さんが増えているものの対応できる体制は整っているとは言えません。
調査によると、専門の通訳や外国人対応の部署がある医療機関はまだ少数です。
翻訳機器は増えていますが、人でのサポートが足りないのが現状です。
また、外国人患者さんの医療費の未払いも問題になっており、全体の1-2%程度ですが、1件あたりでは高額になることもあります。
理由2:専門性を高めて差をつけられる【最新情報と資格取得に有利】
理学療法の世界では、最新の研究や治療法のほとんどが英語で発表されます。
認定・専門理学療法士を目指すなら英語は必須
「認定理学療法士」や「専門理学療法士」を取りたいと思っている人は要注意です。
英語の参考書や研究論文を読むことが必要になります。
学会で発表する時も、海外の文献を引用することが多いので、英語が読めないと困ってしまいます。
最新情報をいち早くゲットできる
理学療法の新しい技術は、主にアメリカやヨーロッパで生まれます。日本語に翻訳されるまで、数年かかることもあります。
英語ができれば・・・
- 最新の治療法をすぐに学べる
- 国際学会の情報もチェックできる(日本理学療法士協会もサポートしています)
- より効果的なリハビリを患者さんに提供できる
ライバルと差をつけられる
理学療法士の数は、この10年で約2倍に増えました(11万人→21万人)。
競争が激しくなる中で、英語ができることは大きな武器になります。
専門性の高い理学療法士として、患者さんからの信頼も得やすくなります。
理由3:キャリアの多様化と専門性向上【あなたに当てはまる分野はありますか?】
英語力を持つ理学療法士には、従来にない多様なキャリアパスが開かれています。
以下の分野で一つでも興味があるものがあれば、英語学習をお勧めします。
1. スポーツ分野での活躍【こんな理学療法士におすすめ】
✓ スポーツ現場での仕事に憧れがある方
✓ 将来的に独立開業を考えている方
具体的な活躍場面
- プロスポーツチームでの外国人選手対応
- 国際大会でのトレーナー業務
- スポーツジム・フィットネス業界
スポーツ分野の理学療法士は一般的な病院勤務より高収入が期待でき、特に英語対応可能な場合はさらに優遇される傾向があります。
2. 専門領域での深い学びと認定資格【こんな理学療法士におすすめ】
✓ 認定・専門理学療法士を目指している方
✓ エビデンスに基づいた治療を重視する方
具体的な学習機会と英語の必要性
- 最新研究論文の読解
- 国際学会での情報収集
- 認定資格取得での優位性
専門性の高い理学療法士として、管理職昇進や教育機関での講師職、より条件の良い職場への転職機会が増加します。
3. 外国人患者対応のエキスパート【こんな理学療法士におすすめ】
✓ コミュニケーション能力を活かしたい方
✓ 安定した需要のある分野で専門性を発揮したい方
具体的な勤務先と業務内容
分類 | 内容 |
---|---|
外国人患者対応病院 | ・在日アメリカ軍基地近隣の医療機関 ・外国人駐在員や研修生の多い地域の病院 ・医療通訳との連携業務 |
医療ツーリズム施設 | ・沖縄県のリハビリテーション医療ツーリズム ・治療費約140万円〜の高付加価値サービス ・3ヶ月の長期滞在プログラム |
訪問リハビリでの外国人在宅ケア | ・増加する外国人高齢者への対応 ・家族への介護指導(英語) ・地域包括ケアでの多文化対応 |
最新調査で病院の54.3%、診療所の37.5%が外国人患者を受け入れており、この分野の専門家は今後さらに重宝されます。
特に在留外国人(ベトナム、中国、フィリピン系)への対応ニーズが高まっています。
4. 国際協力・社会貢献活動【こんな理学療法士におすすめ】
✓ 異文化交流に興味がある方
✓ 人生経験を豊かにしたい方
具体的な活動機会
- JICA海外協力隊
- 国際緊急援助隊
国際経験は個人の視野を大きく広げ、帰国後のキャリアにも良い影響をもたらします。
【自己診断チェック】あなたに英語は必要?
以下の項目で1つでも当てはまる方は、英語学習を強くお勧めします。
□ 認定・専門理学療法士を目指している
□ 最新の治療法をいち早く学びたい
□ 外国人患者と接する機会がある(または今後予想される)
□ 国際的な活動に興味がある
□ 現在の職場環境に変化を求めている
□ 専門性で他の理学療法士と差別化したい
0個: 現時点では英語学習の優先度は低いかもしれません
1-3個: 将来のために基礎的な医療英語の学習をお勧めします
4個以上: 英語学習はあなたのキャリアに大きなプラスになります
外国人患者の増加や専門性向上を考えると、理学療法士にとって英語は有用なスキルとなってきています。
ご自身の働く環境やキャリア目標に応じて検討してみてください。
次に、実際に現場で使える基本的な医療英語を効率的に学習できるツールをご紹介します。
現場で使える医療英語を学ぼう|理学療法士専用フラッシュゲーム
理学療法士が最低限覚えておきたい医療英語を、ゲーム感覚で効率的に学習できるフラッシュゲームを作成しました。
身体部位、症状表現、基本的な指示語から始めて、段階的にスキルアップしていきましょう。
× 要復習: 0枚
- • 1日10分間継続して学習することで効果的に記憶できます
- • 「復習する」ボタンを押したカードは重点的に復習しましょう
- • 音声機能を使って正しい発音を確認してください
- • 全カード「覚えた!」にすると次のレベルに進めます
学習のポイント
- 1日10分の継続学習で基本表現をマスター
- 実際の現場で頻出する表現に特化
- 段階的な難易度設定で無理なく学習
- 発音確認機能付きで実践的なスキル習得
カードをクリックすると答えが表示され、「知ってる」「覚える」ボタンで自分の理解度を確認できます。
まずは基本的な表現から始めて、段階的にスキルアップを目指しましょう。
日々の中で少しずつでも英語学習を継続し、より専門性の高い理学療法士を目指してください。